「福祉用具専門相談員ってどんな資格?取ったら何ができるの?」と疑問に思っている方は少なくないはずです。介護系の資格にはいくつもの種類がありますが、この資格は取得のハードルが低いわりに需要が安定しているという、コストパフォーマンスに優れた存在です。
福祉用具専門相談員は、車いすや介護ベッド、歩行器などの福祉用具を選定・提案する専門家の資格です。介護保険制度において、福祉用具貸与・販売を行う事業所には必ず2名以上の配置が義務付けられており、法律で必要性が保証されている資格と言えます。
しかも受験資格は特になしで、約1週間の講習を受けるだけで取得可能です。未経験から介護業界に入りたい方の最初のステップとしても、非常に取り組みやすい資格になっています。

福祉用具専門相談員の資格概要
資格の位置づけ
福祉用具専門相談員は、都道府県知事が指定する講習事業者が実施する「福祉用具専門相談員指定講習」を修了することで取得できる公的資格です。国家資格ではありませんが、介護保険法で配置が義務付けられているという点で非常に重みのある資格です。
なお、介護福祉士・社会福祉士・保健師・看護師・理学療法士・作業療法士・義肢装具士などの国家資格保持者は、この講習を受けなくても福祉用具専門相談員として業務にあたることが認められています。
主な仕事内容
福祉用具専門相談員が担う業務は、大きく分けて以下の5つです。
- 福祉用具の選定・提案:利用者の身体状況や生活環境に合った福祉用具を見極めて提案する
- 福祉用具サービス計画の作成:利用目標や選定理由を記載した計画書を作成する
- 適合確認:福祉用具が利用者に合っているか定期的にチェックする
- 利用者・家族への説明:使い方の説明や注意事項を丁寧に伝える
- モニタリング:定期訪問で利用状況を確認し、必要に応じて変更を提案する
福祉用具専門相談員の仕事は「提案→計画→確認→見直し」のサイクル。利用者の生活を継続的にサポートする仕事です。
福祉用具専門相談員の資格の取り方
指定講習のカリキュラム
福祉用具専門相談員指定講習は50時間のカリキュラムで構成されています。
- 福祉用具と福祉用具専門相談員の役割(2時間)
- 介護保険制度等に関する基礎知識(4時間)
- 高齢者と介護・医療に関する基礎知識(16時間)
- 個別の福祉用具に関する知識・技術(16時間)
- 福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識(7時間)
- 福祉用具の利用の支援に関する総合演習(5時間)
講習の期間
多くの講習機関では約1週間(6~8日間)の集中講座として実施しています。土日開催や平日夜間開催のコースも用意されているため、現職で働きながらでも受講しやすい環境が整っています。
受講の流れ
- 都道府県が指定する講習事業者を探す
- 申し込み・受講料の支払い
- 講習に参加(50時間)
- 修了評価(筆記試験)に合格
- 修了証明書の交付で資格取得
修了評価は講習内容の理解度を確認するためのもので、難易度は低めです。きちんと講習を受けていれば、ほぼ全員が合格できます。

福祉用具専門相談員の資格取得にかかる費用
講習の受講料は講習機関によって異なりますが、相場は以下の通りです。
- 受講料:3万円~7万円
- テキスト代:受講料に含まれるケースが多い
- 合計:3万円~7万円程度
介護系の資格の中ではかなりリーズナブルな部類に入ります。約1週間・費用3~7万円で取得できるため、費用対効果は非常に高い資格です。
自治体によっては資格取得費用の助成制度がある場合もあります。お住まいの自治体の窓口やホームページで確認してみてください。
福祉用具専門相談員の年収・給料事情
平均年収の目安
福祉用具専門相談員の年収は300万~450万円程度が相場です。介護職員(身体介護メイン)と同等か、やや高めの水準になります。
給料アップにつながるポイント
- 営業スキル:福祉用具の提案にはケアマネジャーへの営業活動も含まれるため、営業が得意な方は成果に応じた収入アップが見込める
- 資格の複数取得:介護福祉士や福祉住環境コーディネーターを併せて持っていると、評価が高まりやすい
- 経験年数:経験を積むほど幅広い提案ができるようになり、昇給につながる傾向がある
福祉用具専門相談員のやりがいと大変さ
やりがいを感じる場面
- 直接感謝される:適切な福祉用具の提案で利用者の生活が改善すると、本人やご家族から直接お礼を言ってもらえる
- 身体的負担が比較的少ない:介護職員のような身体介護がないため、体力面の心配が軽減される
- 知識が仕事に直結する:福祉用具の進化は速く、新製品の知識がそのまま仕事のパフォーマンスにつながる
大変だと感じる場面
- 重い用具の搬入作業:介護ベッドや車いすの搬入・設置には体力が必要
- 営業的な側面:ケアマネジャーとの関係構築や新規開拓が求められるケースもある
- 責任の重さ:福祉用具の選定ミスは利用者の安全に直結するため、緊張感のある判断を求められる

福祉用具専門相談員の将来性
記事執筆時点では、高齢者人口の増加に伴い福祉用具の需要は右肩上がりの状況です。在宅介護の推進もあり、福祉用具貸与サービスの利用者数は増加傾向が続いています。
また、テクノロジーの進化により介護ロボットやICT機器など新しい福祉用具が次々と登場しています。これらの知識を持った専門家へのニーズは今後さらに高まることが予想されます。
加えて、福祉用具貸与事業所は全国に約7,000ヶ所以上存在し、各事業所に最低2名の配置が義務とされているため、求人が枯渇するリスクは低いと見てよいでしょう。
福祉用具専門相談員と関連資格の違い
似た分野の資格との違いも押さえておくと、キャリア選択の参考になります。
| 資格名 | 対象分野 | 取得難易度 |
|---|---|---|
| 福祉用具専門相談員 | 福祉用具の選定・提案 | 低い(講習のみ) |
| 福祉住環境コーディネーター | 住宅改修を含む住環境全体 | 中程度(検定試験) |
| 介護福祉士 | 介護全般(身体介護含む) | 中~高(実務経験+国家試験) |
福祉用具専門相談員と福祉住環境コーディネーターの両方を持っていると、福祉用具の提案に加えて住宅改修の提案も可能になり、トータルでの生活環境改善を提案できる人材として評価が高まります。
福祉用具専門相談員の資格に関するQ&Aコーナー
Q. 介護未経験でも福祉用具専門相談員になれる?
A. なれます。受講資格に実務経験は不要で、講習を修了すれば誰でも取得できます。未経験歓迎の求人も多いため、介護業界への入口として活用する方は少なくありません。介護保険制度や高齢者の身体特性について事前に少し勉強しておくと、講習の理解がスムーズになります。
Q. 福祉用具専門相談員の資格に更新はある?
A. 資格自体に有効期限はなく、更新も不要です。一度取得すれば生涯有効になります。ただし、福祉用具の進化に対応するため、自主的に研修や勉強会に参加して知識をアップデートすることが推奨されています。
Q. 福祉住環境コーディネーターとの違いは?
A. 福祉用具専門相談員は「福祉用具の選定・提案」に特化した資格です。一方、福祉住環境コーディネーターは住宅改修を含む住環境全体を対象としています。守備範囲が異なるため、両方取得すると提案の幅が広がります。
Q. 求人は多い?就職に困らない?
A. 福祉用具貸与事業所は全国に約7,000ヶ所以上あり、各事業所に最低2名の配置が義務です。そのため求人数は安定しています。ただし地域によって偏りがあるため、希望エリアの求人状況は事前に確認しておくとよいでしょう。
Q. 講習はオンラインで受講できる?
A. 講習機関によっては、一部の科目をオンラインで受講できるケースもあります。ただし実技演習は対面で行う必要があるため、完全オンラインでの取得は難しい状況です。通いやすい講習機関を選ぶ際は、開催日程やアクセスも考慮してみてください。

まとめ:福祉用具専門相談員は取得しやすくて需要が高い資格
福祉用具専門相談員は、約1週間・費用3~7万円で取得でき、需要も安定しているコストパフォーマンス抜群の資格です。身体介護を行わない働き方も可能なため、「介護には興味があるけれど体力面が不安」という方にも向いています。
高齢化が進むなか、福祉用具の市場はまだまだ拡大しています。今のうちに資格を取っておけば、将来にわたって安定したキャリアを築く足がかりになるはずです。

