介護業界への転職を考えたとき、「大手企業で安定して働きたい」と考える方は多いだろう。介護業界には全国規模で施設を展開する大手企業がいくつもあり、それぞれに異なる強みや特徴がある。
この記事では、介護業界の主要な大手企業を徹底比較し、各社の特徴・給料水準・福利厚生・働きやすさまで詳しく解説する。転職先選びの参考にしてほしい。

介護業界の大手企業一覧
介護業界で大手と呼ばれる企業には、施設運営を主体とする企業と、在宅サービスを主体とする企業がある。ここでは代表的な大手企業をピックアップして紹介する。
- SOMPOケア:SOMPOグループ傘下、施設数は業界トップクラス
- ベネッセスタイルケア:高品質な有料老人ホームを全国展開
- ツクイ:デイサービスのパイオニア的存在
- ニチイ学館(ニチイグループ):在宅介護・訪問サービスに強い
- セントケア・ホールディング:訪問介護や小規模多機能型居宅介護に強い
- 学研ココファン:サ高住の展開に積極的
- セコム医療システム:セコムグループの安心感
各大手企業の特徴を比較
SOMPOケア
SOMPOホールディングスグループの介護事業会社で、全国約275施設以上を展開する業界最大手のひとつだ。テクノロジーを活用した介護に積極的で、ICTやIoTの導入による業務効率化に力を入れている。
口コミサイトによると平均年収は約355万円で、業界のなかでは比較的高い水準にある。福利厚生も充実しており、引越し費用補助やバースデー休暇などの制度がある。
ベネッセスタイルケア
教育事業で知られるベネッセグループの介護部門で、「グラニー&グランダ」「アリア」「くらら」など、価格帯やサービス内容の異なる複数ブランドの有料老人ホームを展開している。高齢者向けホームの施設数は300拠点以上で、質の高いサービスに定評がある。
研修制度が充実しており、「介護の質にこだわりたい」という方に人気がある。ただし、サービスの質を重視するぶん、業務基準が厳しいと感じるスタッフもいるようだ。
ツクイ
デイサービス事業のパイオニアとして知られるツクイは、全国に500拠点以上を展開する大手介護企業だ。デイサービスを中心に有料老人ホーム、訪問介護、居宅介護支援なども手がけている。
テレワーク導入など独自の人材確保策にも取り組んでおり、働き方の柔軟性を重視する企業として注目されている。また、グループ会社のツクイスタッフが介護人材サービス(かいごGarden)を運営している。

ニチイ学館(ニチイグループ)
ニチイ学館は在宅介護・訪問サービスに強い大手企業だ。地域包括ケアシステムの推進に合わせて、訪問介護・通所介護・居宅介護支援など幅広いサービスを展開している。
また、介護資格の講座運営も行っているため、社内で資格取得を目指せる環境が整っている。未経験から介護業界に入り、資格を取得しながらキャリアアップしたい方には魅力的な選択肢だ。
最初の一歩になる初任者研修がどんな内容なのか、市販のテキストで先にのぞいておくと、講座選びや応募先選びの判断材料になる。
セントケア・ホールディング
セントケアは訪問介護や小規模多機能型居宅介護を得意とする大手企業だ。売上高は約562億円(記事執筆時点)で、堅実な経営が特徴である。「地域に根ざした介護サービス」を理念に掲げ、全国展開している。
学研ココファン
学研ホールディングスのグループ企業として、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の展開に積極的な企業だ。積極的なM&Aで規模を拡大しており、介護事業の成長が注目されている。
大手介護企業で働くメリット
経営が安定しており倒産リスクが低い
大手企業は経営基盤が安定しているため、給与遅延や突然の倒産といったリスクが低い。長期的に安心して働きたい方にとって、大きなメリットだ。
福利厚生が充実している
中小企業と比べて、大手企業は福利厚生が充実していることが多い。社会保険完備はもちろん、退職金制度・資格取得支援・住宅手当・有給休暇の取得推進など、手厚い制度が整っている。
研修制度が整っている
大手企業では新入社員研修やフォローアップ研修、スキルアップ研修など、段階的な教育プログラムが用意されていることが多い。未経験で入社しても、体系的にスキルを身につけられる。
キャリアパスが明確
大手企業では、一般介護職→リーダー→管理者→エリアマネージャーといったキャリアパスが明確に用意されていることが多い。将来のキャリアプランを立てやすいのも魅力だ。

大手介護企業で働くデメリット
マニュアル化が進んでいて自由度が低い場合がある
大手企業は業務のマニュアル化が進んでいることが多く、「自分なりの介護がしたい」という方には窮屈に感じる場合がある。
異動・転勤がある場合がある
全国展開の大手企業では、施設間の異動や転勤の可能性がある。地域を限定して働きたい方は、応募時に転勤の有無を確認しておくことが重要だ。
施設ごとに雰囲気が異なる
同じ企業でも、配属される施設によって職場の雰囲気や人間関係は大きく異なる。大手だからといってすべての施設が良い環境とは限らないため、施設見学は欠かせない。
複数の施設を見学するなら、気づいたことをその場で書き留められる小さなメモ帳を持っていくと、あとで比べるときに記憶があいまいにならずに済む。
大手介護企業を選ぶときのポイント
自分の希望する働き方に合っているか
施設系の仕事がしたいのか、訪問系の仕事がしたいのかによって、選ぶべき企業は変わってくる。自分の希望する施設形態や働き方に強い企業を選ぼう。
給料・待遇を比較する
同じ大手企業でも、給料水準や手当の内容は異なる。基本給だけでなく、夜勤手当・処遇改善加算・ボーナス・退職金なども含めたトータルの待遇で比較するのが大切だ。
施設見学で現場の雰囲気を確認する
企業の評判だけでなく、実際に働く施設の雰囲気を自分の目で確かめることが重要だ。入居者への接し方やスタッフ同士のコミュニケーションを観察しよう。
転職エージェントから内部情報を聞く
介護専門の転職エージェントを活用すると、求人票には載っていない施設の内部情報を教えてもらえる場合がある。離職率や残業の実態など、入職後に後悔しないための情報を事前に集めておこう。

よくある質問
Q. 介護業界の大手企業は未経験でも入れる?
多くの大手企業が未経験者の採用を行っている。研修制度が充実しているため、未経験からでもスキルを身につけながら働ける環境が整っている。
Q. 大手と中小、どちらが良い?
一概には言えないが、安定性や福利厚生を重視するなら大手、アットホームな環境や自由度の高さを求めるなら中小が合うことが多い。自分の価値観に合った方を選ぼう。
Q. 大手介護企業の平均年収はどのくらい?
企業や職種によって異なるが、介護職員の平均年収は300万〜400万円程度が目安だ。資格取得や管理職への昇進で年収アップが見込める。詳しい給与条件は各企業の求人情報で確認してほしい。
Q. 大手企業への転職で有利な資格は?
介護福祉士の資格があると採用で有利になりやすい。また、ケアマネジャーの資格を持っていれば、管理職やケアマネポジションでの転職も視野に入る。
受験を考えているなら、市販のテキストで出題範囲を確認し、働きながら少しずつ進めていくのが現実的だ。
介護業界の大手企業で働く際の心構え
最初の3ヶ月が勝負
どんな職場でも、入職後の3ヶ月は新しい環境に慣れる重要な時期だ。特に大手企業はマニュアルや業務ルールが多いため、まずはルールをしっかり覚えることに集中しよう。慣れてくれば自分なりの工夫もできるようになる。
人間関係は焦らず構築する
大手企業は異動や配置換えがあるため、スタッフの入れ替わりも一定数ある。最初から深い人間関係を築こうと焦らず、日々の業務のなかで信頼関係を少しずつ積み重ねていくのが良い。
資格取得でキャリアアップを目指す
大手企業の多くは資格取得支援制度を設けている。介護職員初任者研修→実務者研修→介護福祉士という流れで資格を取得していくことで、給料アップやキャリアアップにつなげられる。

まとめ
介護業界の大手企業は、経営の安定性・充実した福利厚生・体系的な研修制度が大きな魅力だ。SOMPOケア・ベネッセスタイルケア・ツクイ・ニチイ学館など、それぞれ異なる強みを持つ企業があるため、自分の希望する働き方やキャリアプランに合った企業を選ぶことが重要である。
転職先を決める際は、給料や待遇だけでなく、施設見学で現場の雰囲気を確認し、転職エージェントからの内部情報も活用しよう。
介護業界の動向については、厚生労働省の介護・高齢者福祉ページが参考になる。各施設の情報は介護サービス情報公表システムで確認でき、介護労働安定センターでは業界の労働実態に関するデータも公開されている。


