介護の仕事をしていると、中腰での作業や移乗介助の繰り返しで膝に大きな負担がかかります。「膝が痛くて仕事がつらい」「この先もやっていけるのか不安」と悩んでいる介護職の方は少なくありません。
この記事では、介護職に膝痛が多い原因から、仕事中に使えるサポーターの選び方、日常生活でできるセルフケアまで、具体的な対策をわかりやすく解説します。膝の痛みと上手に付き合いながら、長く介護の仕事を続けるためのヒントをお届けします。

介護職に膝痛が多い原因
介護の仕事は身体を使う場面がとても多く、膝への負担は想像以上に大きいです。ここでは、膝痛の主な原因を確認しておきましょう。
中腰・しゃがみ姿勢の多さ
入浴介助やおむつ交換では、低い位置での作業が続きます。中腰やしゃがんだ姿勢を長時間とることで、膝関節に大きな負荷がかかります。特にベッドの高さが調節できない環境では、不自然な姿勢が続きやすく、膝への影響がさらに増してしまいます。
移乗介助による瞬間的な負荷
ベッドから車いす、車いすからトイレへの移乗介助では、利用者の体重を支えながら方向転換する動作が必要です。このとき膝をひねる動きが加わると、半月板や靭帯に大きな負担がかかります。体重の重い利用者の移乗を一人で行う場面が多いほど、リスクは高まります。
立ち仕事による慢性的な疲労
介護職は勤務中のほとんどの時間を立って過ごします。長時間の立ち仕事は膝関節周囲の筋肉を疲労させ、膝を支えるクッション機能が低下しやすくなります。年齢を重ねるとともに関節の軟骨もすり減りやすくなるため、加齢と仕事の負荷が重なることで痛みが出やすくなります。
立ちっぱなしの足元の負担が気になる方の中には、仕事用の靴にクッション性のあるインソールを入れて工夫している人もいます。

膝の痛みを軽減するサポーターの選び方
膝サポーターは、痛みの軽減と膝の安定感を高めるために有効なアイテムです。ただし、種類が多く選び方に迷うことも多いので、ポイントを押さえておきましょう。
サポーターのタイプを知ろう
- 筒型(スリーブタイプ):足を通して装着するシンプルなタイプ。薄手で動きやすく、介護の仕事中でも使いやすい
- ベルト付きタイプ:面ファスナーで固定力を調整できる。痛みが強い場合やしっかりサポートしたい方におすすめ
- オープンタイプ:膝のお皿(膝蓋骨)の部分が開いているタイプ。膝を曲げやすく、しゃがむ動作が多い介護職に向いている
タイプや厚み、サイズ展開は商品によってさまざまなので、実際の仕様やレビューは各ショップで確認してみてください。
介護職におすすめの選び方ポイント
薄手で蒸れにくい素材を選ぶことが重要です。介護の仕事は動きが多く汗をかきやすいため、通気性の良い素材のサポーターが快適に使えます。また、ズボンの下に着けても目立たない薄さのものを選ぶと、業務中も気にならずに過ごせます。
サイズ選びも大切です。膝上の太もも周囲を測って、メーカーが示すサイズ表に合ったものを選びましょう。きつすぎると血行が悪くなり逆効果になり、緩すぎるとサポート力が足りなくなります。
有名メーカーの特徴
ザムスト(ZAMST)は、スポーツ用品メーカーとして知られ、固定力の高いサポーターが豊富です。バンテリンサポーターは薄手でフィット感に優れ、普段使いに向いています。興和の加圧サポーターは、テーピング構造で膝のぐらつきを抑える設計が特徴的です。
サポーターはあくまで補助的なアイテムです。痛みが強い場合や症状が長引く場合は、整形外科を受診して専門医の診断を受けることが大切です。

仕事中にできる膝痛対策
サポーター以外にも、仕事中に実践できる膝痛対策はたくさんあります。日々の業務の中で少しずつ意識を変えるだけでも、膝への負担はかなり軽減できます。
ボディメカニクスを活用する
ボディメカニクスとは、関節や筋肉の動きの原理を利用して、最小限の力で介護を行う技術です。膝を曲げて重心を下げ、利用者との距離を近づけることで、膝だけでなく腰への負担も大幅に減らせます。
- 足を肩幅に開いて安定した姿勢をとる
- 膝を曲げて重心を低くする(腰で曲げない)
- 利用者にできるだけ近づいてから介助する
- 大きな筋肉(太もも・お尻・背中)を使って動く
- ひねり動作を避け、足ごと方向転換する
福祉用具を積極的に使う
スライディングボードやスライディングシート、リフトなどの福祉用具を活用することで、移乗時の身体的負担を大きく減らせます。「自分の力だけで頑張らなければ」と思い込まず、使える道具はどんどん使っていきましょう。
職場にスライディングシートが足りない場合は、どんな商品があるのかを調べて、備品として導入できないか相談してみるのも一つの方法です。
こまめなストレッチで膝周りをほぐす
休憩時間や業務の合間に、膝周りの筋肉をほぐすストレッチを取り入れましょう。太もも前面の大腿四頭筋や、裏側のハムストリングスを伸ばすことで、膝関節の負担を軽くできます。椅子に座ったまま片脚を伸ばして数秒キープするだけでも効果があります。
自宅でできる膝のセルフケア
仕事が終わってからのケアも、膝痛の予防・改善にはとても重要です。
入浴で血行を促進する
温かいお湯に浸かって膝周りの血行を良くすることで、筋肉の緊張がほぐれ、疲労回復が促されます。ぬるめのお湯(38〜40度程度)にゆっくり浸かるのがおすすめです。ただし、炎症が強く膝が熱を持っている場合は、冷やす方が適切なこともあるため、症状に応じて対応しましょう。
筋トレで膝を支える力を強化する
太もも周りの筋肉を鍛えることで、膝関節にかかる負担を分散できます。スクワットはフォームを間違えると膝を痛めるリスクがあるため、椅子からの立ち上がり運動や、仰向けで脚を上げるトレーニングなど、膝に優しい種目から始めるのが安全です。
仰向けのトレーニングを床で行うなら、ヨガマットを1枚敷いておくと背中や腰が痛くなりにくく、続けやすくなります。
体重管理も大切なポイント
体重が増えると歩行時に膝にかかる負荷も比例して増えるため、適正体重を維持することは膝を守るうえで非常に効果的な対策の一つです。

膝が痛いときに受診すべきタイミング
膝の痛みを感じたとき、「まだ大丈夫」と我慢し続けるのは危険です。以下のような症状がある場合は、早めに整形外科を受診しましょう。
- 膝が腫れて熱を持っている
- 膝を動かすと「カクン」「ゴリゴリ」と音がする
- 膝が伸びきらない、または曲げられない
- 安静にしていても痛みがある
- 痛みが2週間以上続いている
変形性膝関節症や半月板損傷など、早期発見・早期治療が重要な疾患もあります。放置すると症状が悪化し、手術が必要になるケースもあるため、気になる症状があれば迷わず受診しましょう。
参考:MEDIAID Online「腱鞘炎の治し方とは?原因と症状、予防ストレッチ」
膝痛に関するよくある質問(Q&A)
Q. サポーターは一日中つけていても大丈夫ですか?
A. 長時間の連続使用は、血行不良や筋力低下につながる可能性があります。仕事中など膝に負担がかかる場面で使い、帰宅後は外して膝を休ませるのがおすすめです。
Q. 膝が痛いときは冷やすべき?温めるべき?
A. 急性の痛みや膝が腫れて熱を持っている場合は冷やすのが基本です。慢性的な痛みで炎症がおさまっている場合は、温めて血行を促進する方が効果的です。判断に迷う場合は医師に相談しましょう。
Q. 膝の痛みで労災は認められますか?
A. 業務との因果関係が認められれば、労災として認定される可能性があります。変形性膝関節症などが介護業務に起因して発症した場合、労災申請が可能なケースもあるため、詳しくは労働基準監督署に相談してみましょう。
まとめ
介護職の膝痛は、中腰作業や移乗介助による身体的負担が主な原因です。サポーターの活用やボディメカニクスの実践、日頃のストレッチや筋トレなど、できることから取り入れていくことで、膝への負担は着実に減らせます。
大切なのは、痛みを我慢しすぎないこと。少しでも違和感があれば早めに整形外科を受診し、適切な治療を受けましょう。膝をいたわりながら、長く介護の仕事を続けていくためのセルフケアを習慣にしていきましょう。



