介護の現場でケアプランを運用するうえで欠かせないのがモニタリングです。「モニタリングシートの書き方がわからない」「何を書けば実地指導で指摘されないの?」と悩んでいる方は少なくありません。
モニタリングはケアプランが正しく機能しているかを定期的に確認する作業であり、記録に残すことで利用者の生活の変化を可視化し、サービスの質を担保する重要な役割を果たします。
この記事では、介護モニタリングの基本的な目的から、具体的な書き方のコツ、場面別の例文までをわかりやすく解説します。モニタリングの質を高めて、利用者により良い支援を届けましょう。

介護モニタリングとは?目的と重要性を理解しよう
介護モニタリングとは、ケアマネジャーが作成したケアプラン(居宅サービス計画)に基づくサービスが適切に提供されているかどうかを、継続的に確認・評価する業務のことです。厚生労働省の運営基準では、ケアマネジャーは少なくとも月に1回は利用者の居宅を訪問し、モニタリングを行うことが義務づけられています。
モニタリングの主な目的は、次の3つに整理できます。
- 支援の質の担保:ケアプランどおりにサービスが実施されているか、利用者の状態に合っているかを確認する
- リスク管理:利用者の心身状態や生活環境の変化を早期に発見し、事故やトラブルを未然に防ぐ
- 説明責任:記録として残すことで、実地指導や監査においてサービスの妥当性を証明する
モニタリングを怠ると、利用者の状態変化に気づけず、必要な支援が遅れるリスクがあります。加えて、運営基準減算の対象にもなりかねないため、ケアマネジャーにとって避けて通れない業務です。
書き方に自信がないうちは、介護記録の書き方を例文つきで解説した本を1冊手元に置いておくと、迷ったときに見返せて安心です。
モニタリングシートの基本構成と書き方のポイント
モニタリングシートの書式は事業所によって異なりますが、基本的な記載項目はおおむね共通しています。以下の項目を押さえておくと、どのシートでも対応しやすくなります。
モニタリングシートの主な項目
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 利用者情報 | 氏名、要介護度、モニタリング実施日 |
| 短期目標 | ケアプランに設定した短期目標をそのまま転記 |
| サービスの実施状況 | 各サービスが計画どおり提供されているかの確認結果 |
| 目標の達成状況 | 「達成」「一部達成」「未達成」などの評価 |
| 利用者・家族の満足度 | 本人や家族の意向・感想・要望 |
| 今後の方針 | プラン継続・変更・サービス追加などの判断 |
訪問先でシートに書き込むことが多いなら、A4のバインダーがあると机のない場所でも記入しやすくなります。

書き方の5つのコツ
モニタリングシートの記載で意識したいコツは次の5つです。
1. 5W1Hで具体的に書く
「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」を意識するだけで、記録の具体性が格段に上がります。「調子が良い」ではなく「朝の離床時にふらつきなく立位保持できている(直近2週間)」と書くと、読み手に正確に伝わります。
2. 事実と評価を分けて記載する
観察した事実(客観的情報)と、それに対する自分の評価(判断)は明確に分けて書きましょう。混在すると、後から見返したときに判断根拠が不明瞭になり、実地指導でも説明に困ることになります。
3. 数値や頻度を入れる
「食事量が減った」ではなく「主食を3割程度残す日が週3回以上ある」のように、数値で示すと変化が一目でわかります。体重の増減やバイタルの推移なども、具体的な数字を添えて記載するのが望ましいです。
4. 利用者本人の言葉を引用する
「本人より『最近は杖をつけば一人で散歩できるようになった』との発言あり」のように、利用者自身の声をカギカッコで記載すると記録の信頼性が高まります。家族の発言も同様に記録に残しておくとよいでしょう。
5. 課題や変化があればプラン見直しの判断を明記する
「状態の変化によりケアプランの見直しが必要」「現行プランを継続」など、今後の方針を明確に書くことが実地指導対策としても重要です。判断の根拠となる事実も併せて記載しておきましょう。
事実と評価を色で書き分けたいときは、1本で数色使える多機能ボールペンがあると便利です。
【場面別】モニタリングの例文集
ここからは、よくあるケースごとにモニタリングの記載例を紹介します。そのまま参考にしたり、自分の担当ケースに合わせてアレンジしたりして活用してください。
例文1:身体機能の維持(歩行)
短期目標:室内を杖歩行で安全に移動できる
サービス実施状況:通所リハビリを週2回利用中。プログラムどおり下肢筋力訓練と歩行訓練を実施している。
達成状況:一部達成。自室からリビングまでの移動は杖歩行で安定。ただし、トイレまでの移動時に時折ふらつきが見られる(月2回程度)。
本人の声:「前より歩けるようになった気がする。でもトイレが遠くて夜は不安」とのこと。
今後の方針:トイレ動線に手すり設置を検討。福祉用具貸与の追加を調整予定。現行サービスは継続し、次月も経過観察する。
例文2:認知症のケア(見守り・声かけ)
短期目標:日中の居場所を確保し、穏やかに過ごせる
サービス実施状況:デイサービスを週3回利用。レクリエーションや集団活動への参加を促している。
達成状況:達成。デイサービスでは他の利用者と穏やかに交流しており、帰宅願望の訴えは減少傾向(月初は週2回→月末は週1回程度)。
本人の声:「ここに来ると楽しい」との発言あり。
家族の声:「家でも落ち着いて過ごす時間が増えたように感じる」とのこと。
今後の方針:現行プラン継続。引き続きデイサービスでの活動参加状況を確認する。

例文3:入浴介助の確認
短期目標:週2回の入浴で清潔を保持できる
サービス実施状況:訪問介護による入浴介助を週2回実施。計画どおりに提供されている。
達成状況:達成。入浴時の皮膚トラブルなし。本人も入浴を楽しみにしている様子がうかがえる。
本人の声:「お風呂は気持ちいいから好き」との発言あり。
今後の方針:現行プラン継続。冬場の乾燥対策として保湿剤の使用について家族と相談予定。
例文4:栄養管理(食事量の低下)
短期目標:1日3食を7割以上摂取できる
サービス実施状況:配食サービスを毎日利用中。訪問介護員が昼食の見守りを実施。
達成状況:未達成。主食の摂取量が5割を下回る日が週3回程度見られる。体重が先月比で1.2kg減少。
本人の声:「最近は食欲がなくて。義歯が合わなくなったかもしれない」との発言あり。
今後の方針:かかりつけ医に義歯の調整について相談を提案。食事形態の変更(刻み食への移行)を検討し、サービス担当者会議の開催を調整する。
要介護度別のモニタリングで意識すべき視点
要介護度によって利用者の状態像は異なるため、モニタリングで重点的に確認する項目も変わります。以下のポイントを意識すると、より的確な記録が書けるようになります。
要介護1~2の場合
比較的自立度が高いため、「できることが維持できているか」に注目します。日常生活動作(ADL)の細かい変化を見逃さないことが大切です。「買い物に一人で行けていたのに、最近は付き添いが必要になった」など、生活範囲の変化を丁寧に確認しましょう。
要介護3~5の場合
介護負担が大きくなるため、利用者本人の状態だけでなく、家族の介護負担や心身の健康状態にも目を向ける必要があります。褥瘡の有無、排泄パターンの変化、服薬状況などを具体的に確認し、数値とあわせて記録に残しましょう。

実地指導で指摘されないためのチェックリスト
実地指導(運営指導)では、モニタリング記録の不備を指摘されるケースが少なくありません。以下のチェックリストで事前に確認しておくと安心です。
- 月1回以上の訪問モニタリングが実施されているか
- モニタリング結果が記録として文書化されているか
- サービス担当者会議の記録と整合性が取れているか
- 利用者・家族の意向が記録に反映されているか
- 目標の達成状況と今後の方針が明記されているか
- 短期目標の期間とモニタリング時期がずれていないか
特に「月1回の訪問モニタリング」は運営基準減算の対象になる項目です。やむを得ない事情で訪問できなかった場合は、その理由と代替手段(電話確認など)を記録に残しておくことが求められます。
モニタリングの質を高めるための工夫
モニタリングの精度を上げるには、日ごろからの情報収集が欠かせません。以下の工夫を取り入れると、より実践的な記録が書けるようになります。
サービス事業所との連携を強化する
訪問介護やデイサービスの担当者から日常的に情報をもらう仕組みを作っておくと、月1回のモニタリング訪問だけでは気づけない変化を把握できます。連絡帳やICTツールの活用も検討しましょう。
前回のモニタリング記録を見返す
前回の記録と比較することで、状態の変化を客観的に評価できます。「前回は主食を7割摂取→今回は5割」のように、数値の推移を追う視点が重要です。
訪問中に気づいた数字や本人の言葉は、ポケットに入るメモ帳にその場で書き留めておくと、記録を書くときに正確に残せます。
記録テンプレートを活用する
厚生労働省が示している標準様式やICTソフトのテンプレートを活用すれば、記載漏れを防ぎやすくなります。介護福祉系のスクールや研修機関でも、モニタリングシートの書き方講座が開催されています(参考:三幸福祉カレッジ モニタリング解説)。

よくある質問(Q&A)
Q. モニタリングとアセスメントの違いは?
アセスメントはケアプラン作成前に行う「課題分析」で、利用者のニーズや課題を明らかにする作業です。一方、モニタリングはケアプランの実施後に行う「経過確認・評価」であり、計画が適切に機能しているかをチェックする作業です。アセスメントが「計画の入口」、モニタリングが「計画の運用中チェック」と覚えておくとわかりやすいでしょう。
アセスメントからモニタリングまでの流れを体系的に学び直したい方は、ケアマネ試験のテキストで全体像を確認してみるのも一つの方法です。
Q. モニタリングの頻度は月1回で十分?
運営基準上は「少なくとも月1回」の訪問が求められています。ただし、利用者の状態が急変した場合や退院直後などは、月1回にこだわらず頻度を上げて確認することが推奨されます。状態が安定している場合でも、電話やICTによる中間確認を組み合わせると質の高いモニタリングにつながります(参考:ワイズマン モニタリング記録のコツ)。
Q. モニタリングで「変化なし」の場合はどう書く?
「変化なし」「問題なし」だけの記載は不十分です。「転倒なし(直近1か月)、室内歩行は杖で安定、夜間トイレ2回、ふらつきの訴えなし」のように、具体的な観察内容を記載したうえで「現行プラン継続」と判断を示すのが適切な書き方です。
Q. デイサービスでもモニタリングは必要?
はい。通所介護(デイサービス)では、個別のサービス計画に基づいたモニタリングが求められます。利用者のADLの変化、レクリエーションへの参加状況、他の利用者との交流の様子などを記録し、サービス計画の見直しに活かしましょう(参考:湘南国際アカデミー デイサービスのモニタリング解説)。
まとめ
介護モニタリングの書き方は、「事実+評価+今後の対応」をセットで記載するのが基本です。5W1Hで具体的に書く、数値や利用者の声を盛り込む、前回との比較を入れるといったコツを意識するだけで、記録の質は大きく変わります。
モニタリングは単なる書類作成業務ではなく、利用者の生活をより良くするための大切なプロセスです。実地指導への備えという面でも重要ですが、何より「利用者の変化に気づき、必要な支援を届ける」という本来の目的を忘れずに取り組んでいきましょう。



