介護職にとって夜勤手当は収入を大きく左右する要素のひとつだ。「夜勤があるから介護職は稼げる」という声を聞いたことがある人も多いだろう。実際に、夜勤手当の全国平均は1回あたり5,000〜8,000円で、月に4〜5回の夜勤をこなすことで月収を25,000〜40,000円アップさせることができる。
しかし、施設形態や地域、雇用形態によって夜勤手当の金額にはかなりの幅がある。同じ夜勤でも施設を変えるだけで手当が倍近く違うこともあるため、相場を知っておくことは非常に重要だ。自分の施設の夜勤手当が適正かどうか、判断する材料になるだろう。
この記事では、介護職の夜勤手当の相場を施設別に詳しく解説し、夜勤で効率よく収入を増やすためのコツも紹介する。夜勤をするかしないかで年間数十万円の差がつく世界なので、ぜひ最後まで読んでみてほしい。

夜勤手当の基本|深夜割増との違い
まず押さえておきたいのが、「夜勤手当」と「深夜割増賃金」は別物だということだ。この2つを混同している人は意外と多い。
- 深夜割増賃金:22時〜翌5時の勤務に対して基本給の25%を上乗せする法定の割増(労働基準法で義務)
- 夜勤手当:事業所が独自に設定する手当(法的義務はなく、事業所の任意で支給)
つまり、夜勤をすると「深夜割増(法定)+夜勤手当(任意)」の両方がもらえるのが一般的だ。ただし、夜勤手当を支給しない施設もゼロではないので、求人を選ぶ際は「夜勤手当あり」の記載があるか確認しよう。深夜割増だけでは、夜勤のリターンが小さくなってしまう。
施設別の夜勤手当の相場
施設形態によって夜勤手当の金額は異なる。一般的な相場を施設別にまとめた。
- 介護老人福祉施設(特養):1回6,000〜8,000円
- 介護老人保健施設(老健):1回6,000〜7,000円
- 有料老人ホーム:1回5,000〜7,000円
- グループホーム:1回4,000〜6,000円
- 小規模多機能型施設:1回4,000〜5,000円
- サービス付き高齢者住宅(サ高住):1回5,000〜7,000円
要介護度が高い入所施設ほど夜勤手当が高い傾向がある。特養や老健は夜間の業務負担が大きい分、手当も手厚くなっている。一方、グループホームや小規模多機能は利用者数が少ないため手当もやや低めだ。
また、都市部の施設は地方よりも夜勤手当が高い傾向がある。東京23区内の施設では1回8,000〜10,000円の夜勤手当を設定しているところもあり、地方と比べて年間で10万円以上の差が出ることもある。

夜勤の働き方パターンと収入シミュレーション
2交代制(16時間夜勤)の場合
多くの介護施設で採用されている2交代制では、夕方〜翌朝までの約16時間が1回の夜勤となる。拘束時間は長いが、夜勤明けと翌日が休みになるため、まとまった休息が取れるメリットがある。
月5回の夜勤をこなした場合の収入増加額はこう計算できる。
- 夜勤手当:6,000円 × 5回 = 30,000円
- 深夜割増賃金:別途加算(概算で15,000〜20,000円程度)
- 合計:月45,000〜50,000円程度の上乗せ
- 年間:約54〜60万円の収入アップ
3交代制(8時間夜勤)の場合
3交代制を採用している施設では、夜勤は深夜帯の約8時間となる。2交代制より1回あたりの拘束時間は短いが、夜勤手当の金額も低めに設定されていることが多い(1回3,000〜5,000円程度)。夜勤回数自体は2交代制より多くなる場合がある。
夜勤専従の場合
夜勤専従は1回あたり10,000円以上の手当がつくケースもある。月に10〜16回程度の夜勤をこなすことで月収35〜40万円以上を得ている人もおり、短期間で効率よく稼ぎたい人には有力な選択肢だ。年収で考えると420〜480万円になり、ボーナスを含めれば500万円に届くケースもある。
夜勤で収入を増やすための3つのコツ
コツ1:夜勤手当の高い施設を選ぶ
夜勤手当の金額は施設ごとに異なる。同じ地域でも手当が1回あたり2,000〜3,000円違うことがあるため、転職の際は夜勤手当の金額を必ず比較しよう。年間の差は数十万円にもなるため、施設選びは慎重に行いたい。
コツ2:夜勤回数の希望を伝える
夜勤回数を増やしたい場合は、上司や人事に希望を伝えよう。人手不足の施設では夜勤を積極的にやってくれる職員は歓迎されるため、回数を増やしてもらえる可能性が高い。月に1回増えるだけでも年間で6〜10万円の差になる。
コツ3:夜勤専従を検討する
日勤なしで夜勤だけを担当する「夜勤専従」なら、効率よく稼ぐことができる。手当も通常より高く設定されていることが多い。ただし、体力面や生活リズムの管理が重要になるため、自分に合うかどうか慎重に判断しよう。

夜勤の注意点と健康管理のコツ
夜勤は収入面では大きなメリットがあるが、健康面では注意が必要だ。不規則な生活リズムは体に負担をかけるため、以下のポイントを意識してほしい。
- 睡眠の質を確保する:遮光カーテンやアイマスクを使い、日中でもしっかり眠れる環境を作る
- 食事のリズムを整える:夜食は消化の良いものを選び、暴食を避ける
- 適度な運動をする:休日に軽い運動を取り入れて体力を維持する
- 家族とのコミュニケーション:シフトを共有して、すれ違いを防ぐ
夜勤の回数は労働基準法で明確な上限は定められていないが、日本看護協会のガイドラインでは「月8回以内」が目安とされている。過度な夜勤は健康を害する恐れがあるため、無理のない範囲で計画的にこなすことが大切だ。自分の体調と相談しながら、最適な夜勤回数を見つけよう。
よくある質問(Q&A)
Q. 夜勤手当に税金はかかる?
夜勤手当は給与の一部として課税対象になる。深夜割増賃金も含めた金額が所得として計算されるため、手取りは支給額の約80%程度になると考えておこう。ただし、手当が増えることで年収が上がるメリットの方が大きい。
Q. 夜勤なしでも介護職は続けられる?
もちろん続けられる。デイサービスや訪問介護(日中帯)、居宅のケアマネジャーなど、夜勤のない働き方は多数ある。ただし、夜勤手当がない分、収入は低くなる傾向がある。ワークライフバランスと収入のバランスを考えて選択しよう。
Q. 一人夜勤は違法?
一人夜勤自体は違法ではないが、利用者の安全確保の観点から適切な人員配置が求められる。一人夜勤に不安を感じる場合は、複数体制で夜勤を行っている施設を選ぶとよいだろう。
まとめ
介護職の夜勤手当は1回5,000〜8,000円が全国的な相場で、施設形態や地域によって差がある。月5回の夜勤で月3〜5万円の収入アップが見込め、年間では36〜60万円の差になる。
夜勤手当の高い施設を選ぶことが、効率よく収入を増やすカギだ。体力面との相談になるが、夜勤は介護職の収入アップにおいて欠かせない選択肢と言えるだろう。健康管理をしっかり行いながら、計画的に夜勤を活用してほしい。
参考:介護の夜勤完全ガイド


