介護職として働いていると、「手取り20万円に届かない」「もう少し余裕のある生活がしたい」と感じることはないだろうか。介護業界は慢性的な人手不足にもかかわらず、給料が低いと感じている人が多いのが現実だ。
しかし、実は介護職でも手取り20万円を安定して確保する方法はいくつもある。資格取得や夜勤の活用、処遇改善加算の恩恵、そして転職による年収アップなど、知っているかどうかで収入に大きな差がつくのがこの業界の特徴だ。
この記事では、介護職が手取り20万円を達成するための具体的な方法を詳しく解説していく。今の職場で給料を上げるコツから、転職で年収を大幅アップさせる戦略まで、すぐに実践できる内容をまとめた。

介護職の手取りの現状|平均はどのくらい?
まず、介護職の給料の現状を把握しておこう。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、介護職員の平均月収は約31.4万円(賞与込み)となっている。ここから社会保険料や税金を差し引くと、手取りは約24〜26万円程度になる計算だ。
ただし、これはあくまで平均値であり、施設形態や地域、保有資格、勤続年数によって大きく変わる。無資格・未経験の場合は月収20万円前後にとどまるケースも珍しくなく、手取りが15〜17万円程度になってしまうこともある。
手取り20万円を達成するには、額面で約25万円が必要になる。社会保険料や所得税・住民税で約5万円が引かれるためだ。この「額面25万円」をひとつの目標として考えていこう。
手取り20万を達成する7つの方法
方法1:介護福祉士の資格を取得する
介護福祉士は介護系唯一の国家資格であり、取得することで資格手当がつくのが一般的だ。資格手当の相場は月5,000〜15,000円程度で、施設によっては20,000円以上つくところもある。
無資格の介護職員と介護福祉士では、平均年収に約40〜50万円の差があるとされている。実務経験3年以上で受験資格が得られるので、キャリアアップの第一歩として目指してほしい。
方法2:夜勤回数を増やす
夜勤手当は介護職の収入アップに直結する。夜勤手当の相場は1回あたり5,000〜8,000円で、月に5回夜勤をすると25,000〜40,000円の上乗せになる。
仮に月4〜5回の夜勤をこなせば、それだけで年間30〜48万円ほど収入が増える計算だ。体力的な負担はあるものの、手取りアップには即効性のある方法と言える。

方法3:処遇改善加算のある施設を選ぶ
処遇改善加算とは、国が介護職員の待遇を改善するために設けた制度だ。この加算を取得している事業所では、正社員で月2〜4万円程度の処遇改善手当が支給される。
記事執筆時点では、加算区分が複数に分かれており、上位区分を取得している事業所ほど手当が手厚い。求人を探す際は処遇改善加算の取得状況をチェックしよう。
方法4:特養や老健など給料が高い施設で働く
施設形態によって給料には大きな差がある。一般的に、介護老人福祉施設(特養)や介護老人保健施設(老健)は他の施設形態と比べて給与水準が高い傾向にある。
特養は要介護度の高い利用者が多く業務負担も大きいが、その分基本給や各種手当が充実していることが多い。手取り20万円を目指すなら、施設形態の選択も重要なポイントになる。
方法5:役職・リーダー手当を狙う
フロアリーダーやユニットリーダー、主任などの役職に就くと、役職手当が支給される。役職手当の相場は月5,000〜30,000円程度で、管理者になれば月40,000〜60,000円以上つくケースもある。
キャリアを積んでリーダーシップを発揮できるようになれば、給料アップと同時にやりがいも感じられるだろう。
方法6:転職で年収アップを狙う
同じ介護職でも、施設によって手取り18万円と28万円という差が普通にある。転職によって年収が50〜100万円アップするケースも珍しくないのが介護業界の特徴だ。
特に、今の職場で長年勤めていても昇給がほとんどない場合は、転職を検討する価値がある。介護専門の転職サイトやエージェントを活用すれば、条件の良い求人を効率よく探せる。

方法7:都市部の施設を検討する
都市部の介護施設は、地方と比べて基本給が高く設定されていることが多い。東京23区内の施設では、地域手当が上乗せされるため、同じ資格・経験でも月2〜3万円の差が出ることがある。
ただし、都市部は家賃や生活費も高いため、住宅手当や借り上げ社宅の有無も合わせて確認することが大切だ。
処遇改善加算の最新動向
介護職の給料アップを語る上で欠かせないのが、処遇改善加算制度だ。記事執筆時点では、従来の3つの加算が一本化され、新たな区分体系に移行している。
加算の最上位区分を取得している事業所では、正社員で月3〜6万円程度の処遇改善手当が支給されるケースもある。パート・アルバイトでも勤務時間に応じて月5,000〜25,000円程度が加算される。
ICT活用や生産性向上に取り組む事業所には上乗せ区分が適用されるため、テクノロジーを積極的に導入している施設は手当が手厚くなりやすい傾向がある。
処遇改善加算は事業所に支給されるものであり、職員への配分方法は事業所の裁量に委ねられている。そのため、加算を取得していても手当の額は施設ごとに異なる。入職前に「処遇改善手当はいくら支給されるか」を具体的に確認しておこう。
手取りを増やすために知っておきたい給与の仕組み
手取りを効率よく増やすには、給与明細の構成を理解しておくことが重要だ。介護職の給与は一般的に以下の項目で構成されている。
- 基本給:月15〜22万円程度が一般的
- 資格手当:介護福祉士で月5,000〜15,000円程度
- 夜勤手当:1回5,000〜8,000円程度
- 処遇改善手当:月2〜6万円程度
- 役職手当:月5,000〜30,000円程度
- 住宅手当:月10,000〜20,000円程度(施設による)
- 通勤手当:実費支給が一般的
これらの手当を合計した額面から、社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)と税金(所得税・住民税)を差し引いたものが手取りとなる。額面の約80%が手取りの目安と覚えておこう。

手取り20万を超えた先のキャリアプラン
手取り20万円を達成した後は、さらに上を目指すキャリアプランを考えてみよう。
ケアマネジャーへのキャリアアップ
介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得すれば、ケアプラン作成などのデスクワーク中心の業務にシフトでき、資格手当として月1〜2万円程度が上乗せされる。身体的な負担を減らしながら収入アップが見込める選択肢だ。
施設長・管理者を目指す
施設長や管理者になると、年収500万円以上も視野に入ってくる。マネジメント能力が求められるポジションだが、現場経験を活かして目指す価値は大きい。
副業で収入の柱を増やす
介護の知識や経験を活かした副業も選択肢のひとつだ。介護系のライティングや、休日に単発で別の施設で働くダブルワークなどで、月2〜5万円程度の追加収入を得ている人もいる。
よくある質問(Q&A)
Q. 無資格でも手取り20万円は達成できる?
可能だが難易度は高い。夜勤を月5回以上こなすか、処遇改善加算が充実した都市部の施設で働くことが条件になるだろう。資格を取得した方が効率よく手取りアップできるため、まずは介護職員初任者研修の受講をおすすめする。
Q. パートやアルバイトでも手取り20万円を目指せる?
フルタイムに近い勤務時間であれば不可能ではないが、正社員と比べるとボーナスや各種手当がつかないケースが多く、かなり厳しい。安定して手取り20万円を得たいなら、正社員雇用を検討した方がよいだろう。
Q. 処遇改善手当はどの施設でももらえる?
処遇改善加算を算定していない事業所もあるため、全ての施設でもらえるわけではない。求人票に「処遇改善手当あり」と記載されているか、面接時に確認しよう。
Q. 転職するなら何月がベスト?
一般的に、1〜3月は新年度に向けた採用が活発になる時期だ。また、ボーナス支給後の7月や12月以降も求人が増える傾向がある。ただし、介護業界は慢性的な人手不足のため、時期を問わず求人は豊富にあると言える。

まとめ
介護職で手取り20万円を達成するには、資格取得・夜勤の活用・処遇改善加算のある施設選びが王道の方法だ。特に介護福祉士の資格と月4〜5回の夜勤を組み合わせれば、多くの施設で手取り20万円のラインは十分に超えられる。
もし今の職場で昇給が見込めないなら、思い切って転職を検討するのも有効な選択肢だ。同じ仕事内容でも施設が変わるだけで月の手取りが大きく変わることは珍しくない。
介護業界は国の処遇改善施策によって、着実に給与水準が向上している。自分に合った方法で収入アップを目指し、やりがいと生活の安定を両立させてほしい。


