「小規模多機能って聞いたことはあるけど、実際にどんな仕事をするの?“」と疑問に思っている介護職の方は多いのではないだろうか。
小規模多機能型居宅介護(通称:しょうたき)は、「通い」「訪問」「泊まり」の3つのサービスを1つの事業所で提供するという、他の介護施設にはないユニークな特徴を持っている。

この記事では、小規模多機能型居宅介護の仕事内容を「通い」「訪問」「泊まり」のサービスごとに詳しく解説し、働くメリットや向いている人の特徴を紹介する。
小規模多機能型居宅介護とは?サービスの基本を解説
小規模多機能型居宅介護は、利用者が自宅での生活を続けながら、「通い」「訪問」「泊まり」を柔軟に組み合わせて利用できる地域密着型の介護サービスだ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サービスの種類 | 通い(デイサービス的)+訪問+泊まり(ショートステイ的) |
| 登録定員 | 29名以下 |
| 通いの定員 | 1日あたり概ね15名以下 |
| 泊まりの定員 | 概ね9名以下 |
| 対象者 | 要支援1〜要介護5の方(事業所所在地の市区町村に住民票がある方) |
- 3つのサービスを1つの事業所で提供するため、同じスタッフが一貫してケアできる
- 登録定員は29名以下と少人数制のため、利用者との関係が密になる
- 地域密着型サービスのため、利用者は事業所のある市区町村の住民に限られる
小規模多機能の仕事内容を「通い・訪問・泊まり」で解説
「通い」サービスの仕事内容
デイサービスに近い内容で、利用者が日中に事業所に通って過ごす。具体的な仕事は以下の通り。
- 利用者の送迎(自宅と事業所間)
- 食事・入浴・排泄の介助
- レクリエーションや体操の企画・実施
- バイタルチェック(体温・血圧などの健康確認)
- 利用者同士の交流のサポート
「訪問」サービスの仕事内容
利用者の自宅を訪問してケアを行う。訪問介護に近い内容だが、訪問回数や時間に制限がないのが特徴だ。
- 安否確認や声かけ
- 食事の準備や後片づけ
- 入浴・排泄の介助
- 服薬の確認や見守り
- 買い物や掃除などの生活支援

「泊まり」サービスの仕事内容
利用者が事業所に宿泊する際のケアを行う。ショートステイに近い内容だ。
- 就寝準備・起床介助
- 夜間の見守り・巡回
- 体調チェック
- 急変時の対応(看護師や医師への連絡)
小規模多機能で働くメリット
利用者との深い信頼関係が築ける
登録定員が29名以下と少人数のため、利用者一人ひとりとじっくり関わることができる。大規模施設では難しい個別ケアの実践が可能だ。「通い・訪問・泊まり」のすべてで同じ利用者と接するため、その方の生活全体を理解したうえでケアを提供できる。
幅広いスキルが身につく
1つの事業所でデイサービス的な業務、訪問介護の業務、宿泊ケアの業務をすべて経験できるため、介護のスキルが総合的に身につく。将来的にどの分野に進むにしても、小規模多機能で得た経験は強みになる。
無資格・未経験でも始めやすい
小規模多機能は資格がなくても介護職として働くことが可能だ。比較的要介護度の低い利用者も多いため、介護の仕事を始めたいという方にとって挑戦しやすい環境と言える。
アットホームな職場環境
小規模ゆえにスタッフ同士の距離も近く、アットホームな雰囲気の事業所が多い。大規模施設の忙しさや人間関係の複雑さに疲れた方にとっては、働きやすい環境だと感じるケースが多い。

小規模多機能で働くデメリット・注意点
- 業務の幅が広い:通い・訪問・泊まりのすべてに対応する必要があるため、覚える業務が多い
- 夜勤がある:泊まりサービスがあるため、夜勤シフトが入るケースが多い
- 少人数ゆえの負担:スタッフ数が限られているため、急な欠勤が出ると負担が増えやすい
- 給与は施設によって差がある:大規模法人に比べて小規模な事業所が多いため、給与水準にばらつきがある
小規模多機能は業務の幅が広い分、柔軟な対応力が求められる。「一つの業務だけに集中したい」というタイプの方には向かない場合もある。
小規模多機能に向いている人の特徴
- 利用者一人ひとりとじっくり関わりたい方
- いろいろな業務を経験してスキルアップしたい方
- アットホームな雰囲気の職場で働きたい方
- 介護の仕事にこれから挑戦したい未経験の方
- 大規模施設の慌ただしさに疲れてしまった方
小規模多機能の給与相場
小規模多機能の給与は、他の介護施設と大きな差はない。一般的な目安としては、以下の通りだ。
- 正社員の月収:約20万円〜28万円
- パートの時給:約1,000円〜1,300円
- 夜勤手当:1回あたり5,000円〜8,000円程度
資格の有無や経験年数によって差が出るため、実務者研修や介護福祉士を取得すると資格手当として月額5,000円〜20,000円程度が上乗せされるケースが多い。

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)との違い
小規模多機能と似た名前のサービスに「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」がある。看多機は小規模多機能のサービスに訪問看護を加えたもので、医療ニーズの高い利用者にも対応できる点が特徴だ。
| 項目 | 小規模多機能 | 看護小規模多機能 |
|---|---|---|
| サービス | 通い+訪問+泊まり | 通い+訪問+泊まり+訪問看護 |
| 看護師の役割 | 健康管理が中心 | 医療的ケアの提供も可能 |
| 対象者 | 要支援1〜要介護5 | 要介護1〜5(要支援は対象外) |
| 医療ニーズ | 低〜中程度 | 中〜高程度 |
看多機で働く場合は、医療的ケアに関わる場面が増えるため、より専門的な知識が求められる。介護と看護の連携を深く学べる環境だ。
小規模多機能で働く際の一日の流れ(例)
小規模多機能の職員の一日の流れを紹介する。通い・訪問・泊まりの全サービスに対応するため、日によって業務内容が変わるのが特徴だ。
| 時間 | 業務内容 |
|---|---|
| 8:30 | 出勤・夜勤スタッフからの申し送り |
| 9:00 | 通いの利用者のお迎え(送迎)・バイタルチェック |
| 10:00 | 入浴介助・訪問サービス(自宅訪問) |
| 11:30 | 昼食の準備と食事介助 |
| 13:00 | レクリエーション・体操・個別ケア |
| 14:30 | おやつの提供・利用者とのコミュニケーション |
| 15:30 | 通いの利用者のお見送り(送迎) |
| 16:00 | 記録業務・泊まり利用者の対応準備 |
| 17:00 | 泊まり利用者の夕食介助 |
| 17:30 | 夜勤スタッフへの申し送り・退勤 |

小規模多機能の求人を探すコツ
小規模多機能の求人は、大手の介護求人サイトで探すのが効率的だ。検索時は以下のポイントを意識してみてほしい。
- 「小規模多機能」「しょうたき」などのキーワードで絞り込む
- 処遇改善加算の取得状況を確認する(給与に直結する)
- スタッフの人数や配置基準をチェックする(少なすぎると負担が大きい)
- 施設見学が可能かどうか確認し、できれば見学してから応募する
小規模多機能とデイサービス・ショートステイの違いまとめ
小規模多機能は複数のサービスを一体的に提供する点で、単体のデイサービスやショートステイとは性質が異なる。違いを改めて整理しよう。
| 比較項目 | 小規模多機能 | デイサービス | ショートステイ |
|---|---|---|---|
| サービス内容 | 通い+訪問+泊まり | 通いのみ | 泊まりのみ |
| スタッフの一貫性 | 同じスタッフが対応 | デイのスタッフのみ | ショートのスタッフのみ |
| 柔軟性 | 状態に合わせて自由に組み合わせ | 通いサービスに限定 | 泊まりサービスに限定 |
| 定員 | 登録29名・通い15名・泊まり9名 | 施設による | 施設による |
小規模多機能の最大のメリットは、同じスタッフが通い・訪問・泊まりのすべてに対応するため、利用者の生活全体を把握したうえで一貫したケアを提供できる点にある。この点は他のサービスにはない大きな強みだ。
よくある質問(Q&A)
Q. 小規模多機能と通常のデイサービスの違いは?
デイサービスは「通い」のみのサービスだが、小規模多機能は「通い+訪問+泊まり」を一体的に提供する。利用者にとっては環境が変わらず同じスタッフからケアを受けられるメリットがある。
Q. 小規模多機能では看護師も働いている?
はい。小規模多機能には看護師の配置が義務づけられており、医療的なケアや健康管理を担当している。「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」では、さらに医療的ケアに力を入れている。
小規模多機能の登録定員と人員配置
小規模多機能型居宅介護の人員配置基準は以下の通りだ。
| 職種 | 配置基準 |
|---|---|
| 管理者 | 1名(専従・常勤) |
| 介護職員 | 通い3名以上、訪問1名以上、泊まり1名以上(夜間は宿直1名以上) |
| 看護師 | 1名以上 |
| 介護支援専門員 | 1名以上(兼務可) |
スタッフ数が限られているため、一人ひとりのスタッフが幅広い業務を担当することになる。その分、多くの経験を積めるチャンスがあると言えるだろう。
なお、利用者の登録定員は29名以下、通いの定員は1日あたり概ね15名以下、泊まりの定員は概ね9名以下と定められている。大規模施設と比べると利用者数がかなり少ないため、一人ひとりの状態を把握しやすい環境だ。
小規模多機能は地域密着型サービスに分類されるため、利用者はその事業所が所在する市区町村に住民票がある方に限られる。地域とのつながりが強いサービスで、地域の行事やイベントに参加する機会もある。
まとめ
小規模多機能型居宅介護は、「通い・訪問・泊まり」を1つの事業所で提供するユニークなサービス形態だ。少人数制で利用者との距離が近く、幅広いスキルが身につく環境は、介護職としての成長につながりやすい。
未経験者でも始めやすく、アットホームな環境で働きたい方にはおすすめの職場だ。興味がある方は、近くの小規模多機能事業所を見学してみることから始めてみてほしい。

参考リンク:


